地域の話題
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まずは重い腰を上げよう!
綾瀬市基地問題講演会
平成22年2月14日


 肌寒い2月14日(日)に綾瀬市市役所会議室において、帝京大学法学部教授 志方 俊之氏による基地問題講演会が開催されました。テーマは、「日米安全保障50年のあゆみと今後の展望」でした。
〈政権交代が行われた日本で、安全保障・防衛政策は変わるのだろうか。否か。また締結後50周年を迎えた日米安保体制の現状とこれからの問題は何か。〉を提起するテーマは難しいものでしたが、スクリーンを使用しての丁寧な説明と巧みな話術で気がつくと2時間が経っていました。

 講演会の内容は、政権交代で変わらないものと変わるであろう事は何かから始まり、新しい脅威の時代の下での日米安全保障についての解説・緊急事態基本法の整備などの国内問題についてでした。
 政権交代での変化に関して変わらないものとしては、陣営を入れ替えても防衛力の整備には時間を要する、安全保障・防衛問題は国際公約として行ってきたことが多いので急に反古にはできない、エネルギーや食料などの資源を海外に依存して長大なシーレーンを通じて運び込んでいる現状は変わらない、さらに日本を取り巻く脅威も変わらないことが挙げられました。また、 新政権誕生で変わるであろう事では、政策集などから考えて「主体的な」外交戦略の構築、「対等な」パートナーシップの構築、米軍再編や在日米軍基地のあり方の見直しNGOと連携した人道復興支援活動などが考えられるとのことでした。
 安全保障に関しては、今世紀の国際社会に共通する問題として、格差拡大と是正闘争の世紀になるであろうとしました。
 核保有国と非核国との間の国際的発言力の「格差」や資源産出国と依存国との国力の「格差」、IT技術における「格差」など国際テロリズムの頻発などが起こりうると不安定な時代の到来を述べていました。また、資源のほとんどを外部に依存していることの実情に関して、平和に資源保有国から供給されるためには日本でもその資源に付加価値を付けて競争力のある工業製品を作り得ることが望まれ、そして自国を危険にしない努力をし、国際的責務を果たすべきだと述べました。
 さらに、今そこにある脅威(自然災害・大規模テロ)や中期的・長期的な時間軸で備えておくべき脅威などについても考えるべきであり、核や弾道ミサイルを持たないと決めた日本は、何によって政治的・外交的発言力を持つのか、危険の分担を避けていて本当に日米関係は成り立つのかなどを考えなければならない時代であると力説されました。
 そして、最後に現行憲法の文中に、緊急事態基本法を担保する文言がないので基本法の整備を行わなければならないと締めくくりました。

 この講演会には、基地問題が他人事ではない多くの市民の皆様が参加されていました。他国からの脅威に備えて基地は必要であるとする考えを持つ人も多数いることでしょうが、それはあくまで自分の居住する地域に基地が存在しないから考えたことがない、だからあってもなくても関係ないというのが真実ではないでしょうか。綾瀬市のように基地と隣り合わせの市では、さまざまな問題が露出してくるため基地存在の意味合いに負の要素が加わることは避けられません。戦闘機が頭上を飛ぶ様子はやはり怖いものであるし、危機意識をもたらすものであるからです。戦闘機の離発着=外部からの攻撃の危機と感じる人は少ないと思いますが、その騒音は日常生活に支障をきたす問題となります。安全保障での基地問題は移転すれば済むこと、近所になければ考えなくても済むことだと簡単に片付けてはいけない事柄だと思います。必要かそうでないかの基準は何でしょうか。重い腰を上げる姿勢が問われているのは誰でしょうか。これからもこのような講演会を企画していただいて参加者の方々からの声が何かに反映されればよいと思いました。

リポート2010/02/14 川居


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