地域の話題
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誰によって守れるのか
基地問題講演会
平成28年1月23日


 大雪予想の寒い1月23日(土)の午後、綾瀬市オーエンス文化会館にて、基地問題講演会が開催されました。テーマは、「今後の安全保障政策と自衛隊の活動」で、講師は、防衛ジャーナリストの桜林 美佐氏でした。
 桜林氏は、アジアを中心とした世界情勢の解説をわかりやすく行い、自衛隊の活動の内容を、ご自身が行った現場取材を通して説明しました。


 まず、日本を取り巻く諸外国の情勢に関しては、多くの日本人は平和だと考えて生活していますが、決して安全ではないので、危機感を持って安全や軍事問題を考えることが必要であること、例えば、ロシア・中国・朝鮮半島の脅威では、最近では、中国の軍事がらみの事案が多いため、脅威の優先順位が以前と代わってきてはいるが、ロシアに関しては、年間を通じて航空機のスクランブル発進が現在でも多いことや北方領土にたくさんの軍事施設があることなど未だに何も解決されていない状況であることを述べました。また、北朝鮮についても、水爆実験を行うなど予期できない情勢が起こりうることを述べました。

 特に中国については、南シナ海の埋め立てによる人工島の問題が日本をはじめとするアジア太平洋諸国にとって非常に脅威であることを説明しました。中国は、9本の境界線「九段線(昔、漁師の避難所となった小島や環礁が点在する海域)を自国のものと主張し海上貿易の要所を手に入れようとしている。その戦略ビジョンとして「三戦」を軍だけでなく政治や外交の各分野に通じて展開していることを解説しました。「三戦とは、興論戦(国内外の世論に訴える活動)、心理戦(相手の心を揺さぶる活動)、法律戦(行動の正当化を主張するための法的根拠を整える活動)です。」

 そして、この中国の台頭に近隣諸国は、軍事レベルで太刀打ちできないのが事実であるので、話し合いなど政治の表舞台へ立つためには軍事力を誇示することも必要であることを説明しました。アメリカは、中国の人工島での軍事施設建設の中止を求めましたが拒まれ、「航行の自由」作戦に舵を切らざるを得なくなっている状況です。日本の生命線の南シナ海の脅威に、日本は何ができるのでしょうか。今後は、アメリカと共同で対処することの必要性が生じるだろうから米軍基地との関係も大切になってくるでしょう。また米軍基地の安定的な運用は欠かせなくなるでしょう。基地の在り方や自衛隊の活動がこれからの日本の安全に大きな影響を及ぼすものと説明しました。

 自衛隊については、その活動は多岐にわたっていて、災害派遣を念頭におき、常時災害での要請に出動できるように待機し、メンテナンスや訓練がしっかり実施されていること、イザ非常時の稼働率の高さが、自国に限らず、国際緊急救助隊としても備えられていることなど活動範囲の広さと持術力の高さを解説しました。
自衛隊=戦争ではありません。防衛とは何か、今のこの平和は誰によって守られているのか、これからは誰によって守られるのかを考える時代に入ったと話を締めくくりました。

 桜林さんの話は、放送関係の仕事に携わっていた経験からか、“ひとこと・ひとこと”が分かりやすく丁寧であっと言う間の2時間でした。ご自身も自衛隊機のP3Cに搭乗して現場を取材したそうです。日本唯一の女性防衛ジャーナリスト。とても素敵な女性で、“講演会に来てよかった”と思いました。また、講演をしてほしいと思いました。

2016/01/23 リポート 川居


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